和製ブレイクダンス

人形振り、役者が人形浄瑠璃の人形のように舞う歌舞伎の特殊な演出法のひとつで、10月歌舞伎「松竹梅湯島掛額」火の見櫓のお七の場面(八百屋お七のような物語)で見る事が出来る。

人形振りは、人形の動きを誇張して表現するため、まばたきや掌の返しといった人間的な動きを極力封印し、また足腰には実際かなりの力を要しながらどこにも力が入っていない(文楽女形人形には足がない?)ような滑らかな舞いを見せるなど、極めて高度な技術を要するとある。

そして物語は激しい恋ゆえにその女心を高揚させる場面。着物や髪型が段々乱れ激しさを表す。セリフも表情もない、動きで激情を見事に演じなければならない。卓越した浄瑠璃が気持ちを盛り上げる、浄瑠璃軍団も感動もん。

今回お七は若手尾上右近が演じたが素晴らしかった。

高度な古典技術を生かしながらもブレイクダンスの要素を取り入れたようで動きがとても新鮮だった。人形ぶりを「和製ブレイクダンス」と言っていたが、まさに。

最近はK-POPが好きになりyoutube等毎日みてるが、BTSのすごさに匹敵すると思ったわ、マジで。

松竹梅湯島掛軸は二部構成、最初の吉祥院お土砂の場は、コメディ、尾上菊五郎のはっちゃけぶりがすごかった。彼だけ今の言葉で、他は歌舞伎言葉だったり、オリンピックのピクトグラムや最近のコロナ関連の話しがでちゃう。

お七も恋する可愛らしい女の子なんだよね。

次の四ツ木戸火の見櫓の場、ここでお七も可愛らしい女の子から激情の女になる。

その大きくかわる気持ちを表す手法として人形になるのかも。演技だとなんだかつまらないし、いきなりの豹変に観客の気持ちがついていかない。

この構成が粋なんだよね。歌舞伎素晴らしい。

尾上右近、鶴田浩二の孫ってことしか知らなかったし、見た目が好きな女形ではないし、一幕目はパッとしなかったが、二幕目見事に豹変。もともと豹変する演出だから、見事にハマった感、やられた。

それでまた行くことに。昨夜発券してきた。

一回目二回目と演者も自分もどう変わるか楽しみ。見る席もかなり変えた。とても素晴らしいのになかなか取れないような席がすぐ取れてしまうのが嬉しいようで悲しい。

チケットが取れるから最近毎月歌舞伎座に通っている。何がいいかって、若手が素晴らしい。

体幹がしっかりしていてぶれないからカッコいい。日本舞踊の激しいバージョンは、シンクロしていて、リズムすごくてK-POPに負けず劣らず。

アイドルでも、歌舞伎役者でも、韓国人でも、日本人でも、物凄い練習を重ねた人のステージは心ゆさぶる。

三階席なら5000円がとりやすい。芝翫の舞踊も圧巻。

Author: noriko